2008年12月文献案内

紙版を店主の佐野も会員の菌類懇話会の機関紙 「菌懇会通信12月」に載せています。
ご注文方法は「注文・支払方法・納期など」を参照願います。

Die_Gattung_Ramaria_in_Deutschland.jpg
1.“新紹介”
Christian, Josef (2008)
「Die Gattung Ramaria in Deutschland」 (ドイツのホウキタケ属)

IHW-Verlag
価格15,790円(税込み、送料別) 納期 2週間(在庫) 
“ホウキタケ属に関心を持つすべての方にお勧め“
ドイツ語、検索表は同一内容の英語版あり。種の記載にも英語の要約あり。17.5x24.5cm。352ページ。原色写真、走査電顕写真、線画など合計354図版。ハードカバー。
  タイトルはドイツだがヨーロッパ産のホウキタケ属全種をカバーする。前半の総論部分で、まずホウキタケとして発表された全学名のリストを載せ、次に「ホウキタケ図譜の歴史」で1763年のSchafefer, J.C.の図譜から1932年のBresadola G.「Iconographica Mycologica」までの各図譜の図と記載文の復刻を載せ解説する。さらに本属のマクロ・ミクロの形質を原色写真、線画、顕微鏡図・写真を使い詳述する。「ホウキタケ属の系統分類」では、RamariaとGomphusとの関係、Gomphalaes・Phallales・ Geastrales, などとの関係を最近の研究成果を元に概説する。
 「属内の分類」で著者は(1)subgen. Ramaria, (2)subgen. Lentoramaria, (3)subgen. Asteroramariaの3亜属を提唱する。「種への検索表」は、いきなり種まで行きつく初心者向け検索表と、亜属、節への検索表を経由して種へ行きつく検索表の二つを準備する。これら二つの検索表には同一内容の英語版もつく。
 種の解説は、鮮明な原色生態写真2枚と走査電顕写真を元にしたと思われる細部まで鮮明な胞子図を付け詳述する。記載文には英語の短い要約もつく。種の相違の補強資料として胞子の大きさの分散表がある。44枚の胞子の走査電顕写真や12枚の菌糸束部分にあるミネラルの結晶写真もある。検討した膨大な標本リストをみると“よくもこれだけの標本を調べた”と感心する。なお、本書で2新種、1新変種が発表された。

Continental_Antarctic_Fungi.jpg
2. “新紹介”
Onofri, Silvano, Laura Zucconi & Solveig Tosi (2007)
「Continental Antarctic Fungi」 (南極大陸の菌類)
 IHW-Verlag  
価格8,040円(税込み、送料別) 納期 2週間(在庫)
英語。17.5x24.5cm。247ページ。95白黒図、35原色図。ハードカバー。
 前半は総論で、南極大陸の環境、菌類研究史、菌類多様性などを解説し、低温・強い紫外線、乏しい水分、などきびしい環境への菌類の適応などを論じる。
 後半は産する種の記載で、卵菌類などの偽菌類、接合菌、子のう菌、担子菌、さらに酵母や不完全菌など全ての菌類を網羅する。ほとんどは顕微鏡サイズの微小菌だが、Sclerotinia memorabilisのような大型の子実体をつくる菌類も載る。また、冬虫夏草のCordyceps属も2種が載るが、2種とも土壌から分離されたもので、昆虫に寄生した状態で見つかったのではないようだ。
 担子菌では多孔菌のPycnoporus coccineus(ヒイロタケ) 1種だけが載る。本種は本来、樹木に発生するが、樹木のない南極大陸ではミイラ化したペンギンと周囲の土壌から分離されたようだ。

Soil_Analysis_in_Forensic_Taphonomy.jpg
3.“新紹介”
Tibbett, Mark, & David o. Carter (2008)
「Soil Analysis in Forensic Taphonomy: Chemical and Biological Effects of Buried Human Remains」 (犯罪タフォノミーの土壌分析: 埋められた遺体の化学的・生物学的作用)  
 
CRC Press 
価格9,740円(税込み、送料別) 納期2週間(小部数在庫)
英語。16.3x24.2cm。12+340ページ。原色写真あり。ハードカバー。
 Taphonomy(タホノミー)という単語は佐野が持つ23万語以上を載せるという研究社新英和大辞典にもなく、インターネットの百科辞典Wikipediaでやっと出てくる単語だ。それによれば、Taphonomy とは、生物が時間の経過とともに腐朽していく過程を研究する学問とある。Forensic Taphonomyとはそれを犯罪捜査に応用する学問といってよいだろうか。本書はそれに関連する6つの論文からなる。
 テーマには「Cadaver Decomposition and Soil」(死体分解と土壌), 「The Decomposition of Hair in the Buried Body Environment」 (埋められた死体環境での毛髪の分解)など、刺激的な言葉が並ぶ。しかし、ここで紹介したいのは第4論文Soil Fungi Associated wit Graves and Latrines: Toward a Forensic Mycology (墓所と便所に関係する土壌菌類:犯罪菌類学に向けて)と題する相良直彦先生たちの論文だ。
 ご承知のとおり先生は、モグラの便所に生えるナガエノスギタケなどアンモニア菌がご専門だ。死体が腐敗したあとにワカフサタケ属やキツネタケ属のアンモニア菌が発生することを、それを証する死骸のそばに発生したきのこの写真を付け報告する。もちろんモグラの便所のナガエノスギタケのことも生態写真を付して報告する。

菌類のふしぎ
4.“11月既紹介”  “たくさんのご注文感謝!”
国立科学博物館編 (2008)
「菌類のふしぎ 形とはたらきの驚異の多様性」
 国立科学博物館叢書9、 東海大学出版会 
価格 2,940円(税込み、送料サービス)  納期 2週間(在庫)
18x26cm。216ページ。原色写真・図版多数。ハードカバー。 
身近な存在でありながらあまり知られていない菌類の広大な世界を概観できるだけでなく、最近の菌類分類体系の大幅な改変も把握できるコンパクトながら濃密な内容。
2013年10月8日からの訪問者数
プロフィール

佐野書店 佐野悦三

最近の記事
ブログ内検索
カテゴリー
月別アーカイブ
リンク
RSSフィード