2008-10

2008年7月文献案内

紙版を菌類懇話会の機関紙 「菌懇会通信」2008年7月号に載せています。
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価格は為替レートの変更により変わることがあります。
原色中国大型菌類図鑑
1.“新紹介”
袁明生ほか編著 (2008)
「中国蕈菌原色図集」(原色中国大型菌類図鑑) 
 
四川出版集団・四川科学技術出版社、成都、中国。  
価格19,950円(税込み、送料別) 納期 在庫切れ、追加取寄せ中。
中国語。A4版。552ページ。総原色図版ページ。ハードカバー。
 中国に産する子のう菌及び担子菌に属する大型菌類(きのこ)1089種を、2200枚近い原色写真を付し解説する。うち359種については成分表やその化学式を載せる。
 西口親雄(2001)「森と樹と蝶と」(八坂書房)によれば、日本の多くの植物のふるさと(分布中心)は中国であり、中国の植物多様性は、その東端に位置する日本のそれよりはるかに高いという。例えば、カエデ属(Acer)は中国に33種産するが、日本は23種である。ナラ属(Quercus)の中のナラ類・カシ類・ウバメガシ類三つのグループでは中国に合計46種産するが日本にはその三分の一にも満たない13種しか産しない。ツバキ属(Cameria)を構成するツバキ類・サザンカ類・チャ類についても同様で、中国では3グループ合計19種産するのに対し日本はわずか3種にすぎない。このように日本の多くの植物の分布中心は中国であり、中国の植物相を知ること無くして日本の植物相を理解することは出来ない。 
 植物と緊密な関係を持つ菌類についても同じことが言えると考える。日本の菌類相を知るためには、ぜひとも中国の菌類相を知る必要がある。その意味で大型菌類1089種を載せる本書は重要な一冊である。掲載種は、偏りがあるようだが、テングタケ属(Amanita)は、今井三子、本郷次雄、小田貴志各氏の記載種を含む41種を、チチタケ属(Lactarius)は日本人記載種3種を含む41種を、ベニタケ属(Russula)は同1種を含む34種を載せる。他にフウセンタケ属(Cortinarius)54種、カヤタケ属(Clitocybe)38種、ホウキタケ属(Ramaria)18種、オオシロアリタケ属(Termitomyces)8種などに佐野は注目した。

Taming_the_Truffle.jpg
2.“新紹介”
Hall, I.R., G. T. Brown & A.Zambonelli (2007)
「Taming The Truffle: The History, Lore, and Science of the Ultimate Mushroom」
(トリュフの栽培:この究極のきのこの歴史、伝承、および科学) 
 Timber Press  
価格3,680円(税込み、送料別) 納期 2週間(在庫)
“トリュフや地下性菌に興味のある方、また菌根性きのこ栽培に関心のある方に大いにお勧め!”
英語。15.8x23.53cm。304ページ。本文中に原色写真。ハードカバー、カバー付。
 ヨーロッパではトリュフは食用きのこの中でも特に珍重される。ペリゴ−ド黒トリュフ(Perigord black truffle: Tuber melanosporum)やイタリアン白トリュフ(Italian white truffle: T. magnatum)と呼ばれるブランドのトリュフは、日本人にとってのマツタケよりもはるかに貴重で高価なようだ。イタリアン白トリュフが、赤ん坊の頭ほどある巨大なものであったが、「1個が高級乗用車1台の価格で取引された」とテレビ放映されたのを見たことがある。
 このように高価なトリュフであるから栽培の試みが熱心に続けられ、今ではフランス、イタリア、スペインなどのほか、ニュージーランド、オーストラリア、米国などでも、根に菌根を作らせた樹木を植栽する方法で行われている。しかし、菌根菌であるトリュフ菌に子実体を作らせることは大変難しく、本書によれば、フランスでは20年以上にわたり毎年40万本以上のトリュフ菌付き樹木が植栽されたにもかかわらず、多くのトリュフ園は栽培に成功せず、トリュフの生産量は顕著には増えていないそうだ。
 最近、日本のバイオ会社がマツタケの子実体原基の形成に成功し、きのこへの成長にあと一歩だと報道された。本書にはマツタケやトリュフのような菌根性きのこのホスト植物なしの栽培研究について皮肉混じりに書かれた項目がある。世界最初にそれに成功したというカリフォルニアトリュフ会社は1991年倒産したそうだ。それに成功したという2001年の日本の研究発表にも皮肉交じりにコメントされており読んでみると面白い。  
 本書には栽培以外にも、人とのかかわりの歴史、生態、種の同定法などが解説され、特に“現地写真付き自生環境の解説”は日本の野生トリュフ採集に熱心な方々に大変参考になるに違いない。  

2−2. トリュフの生態、栽培、分類についての他の本 (ブログで紹介済)
(1)Callot, Gabriel (1999)「La truffe la terre la vie」 (トリュフ、土壌、生態)
価格 8,800円(税込み、送料別) 納期 2週間(小部数在庫)
仏語。21x21cm。210ページ。ソフトバック。本文内図版多数。
子実体形成のプロセスや子実体の形態学など、トリュフの分類にも不可欠の生態について解説。
(2)Riousset, L. et G., G. Chevalier & M.C. Bardet (2001)
Truffes d'Europe et de Chine(ヨーロッパと中国のトリュフ)

価格8,800円(税込み、送料別) 納期2週間(小部数在庫)
仏語。17x24cm。181ページ、原色図版多数。ペーパーバック。
トリュフの専門図鑑。子実体の外形・断面の原色写真に加え、子の う・胞子の原色顕微鏡写真。遺伝子分析にもとづく系統樹も載せられている。 検索表付き。
(3)Carlo Vittadini 200 Anni di Micologia I Tartufi fra Ricerca e Divulgazione (菌類学のカルロ・ヴィタディーニ生誕200年、そのトリュフ研究と発表)(2001)
価格7,680円(税込み、送料別) 納期2週間(在庫)
イタリア語。21.5x30.5cm。263ページ。原色ページ多数。ハードバック。
地下生菌に興味を持つ人でカルロ・ヴィタディーニ(1800-65)の名前を知らない人はいない。
本書は、ヴィタディーニ生誕200年を記念し、彼ゆかりのイタリア、パヴィア県とロンバルディーア州政府、およびロンバルディーア菌学連盟とブレサドーラ菌学会の4者が共同して出版した出版物である。内容は彼の菌類研究の解説と代表的出版物の部分的復刻からなる。

2−3.ホスト植物なしで菌根性きのこの栽培に成功したという2001年の日本の研究発表が載っている発表論文集CD (ブログで紹介済)
(1)Hall, I., Wang Y., E. Danell & A. Zambonelli (2002)
Edible mycorrhizal mushrooms and their cultivation (食用菌根性きのこ、およびその栽培)

Proceedings of the Second International Conference on Edible Mycorrhizal Mushrooms Christchurch, New Zealand 2001
CD-ROM。価格5,620円(税込み、送料別) 納期2週間(1セットのみ在庫)

3.中国の菌類を知るための文献(ブログ紹介済)
(この他に「中国真菌志」がある:佐野書店ブログ参照)
(1)戴玉成 (2005)中国林木病原腐朽菌図志」 (中国樹木腐朽菌図譜) 
価格13,650円(税込み、送料別) 納期2週間(在庫) 
中国語。21.6x28.2cm。4+197ページ。顕微鏡図・原色写真多数。ハードカバー。
(2)Bi Zhishu, Zheng Guoyang & Li Taihui (1993)「The Macrofungus Flora of China’s Guangdong Province」 (中国、広東州の大型菌類フロラ)
価格17,660円(税込み、送料別) 納期2週間(少数在庫)
英語。19.5x26.7cm。16+734ページ、うち白黒図版113ページ。ハードカバー。
(3)Wu Xingliang & Dai Yucheng (2005)「中国霊芝図鑑」
価格 14,700円(税込み、送料別) 納期 2週間(小部数在庫) 
中国語。22.0x28.7cm。8+229ページ。原色写真・胞子図多数
(4)Zhao Ji-Ding & Zhang Xiao-Qing (1982) 「The Polypores of China」 (中国の多孔菌類) Bibliotheca Mycologica Band 178
価格19,460円(税込み、送料別) 納期 2週間(小部数在庫)
英語。14.5x22.5cm。524ページ。本文中に顕微鏡図318図。
5)Yu-Cheng Dai & Tumo Niemela (2006) 「Hymenochaetaceae in China: hydnoid, stereoid and annual poroid genera, plus additions to Phellinus 」 (中国のタバコウロコタケ科) 
Acta Botanica Fennica No. 179.   価格 6,420円(税込み、送料別) (在庫切れ中)
英語。17.7x25.5cm 。78ページ、うち原色写真7ページ。本文中に顕微鏡図。ペーパーバック。
(6)Wenping Wu & Wenying Zhuang (2005) 「Sporidesmium, Endophragmiella and related genera from China」 Fungal Diversity Press
価格 11,380円(税込み、送料別) 納期 2週間(在庫)
英語。18.4x26.1cm。10+351ページ。ハードカバー。
(7)Zhao Ji-Ding (1989) 「The Ganodermataceae in China」(中国のマンネンタケ科)
Bibliotheca Mycologica Band 132  価格 6,400円(税込み、送料別) 納期 2週間(在庫)
英語。14.5x22.5cm。176ページ。本文中に顕微鏡図84図。原色図なし。
(8)Teng, S.C. (1996) Fungi of China (中国の菌類) Mycotaxon, Ltd. (在庫切れ中)

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