エルゴチオネイン

(2008年6月7日のブログに載せた記事です。同年12月に集約しました)
 三重大学で開催された日本菌学会第52回大会では100を越えるポスター発表があった。その中でやや異色な次の発表に惹かれた。それは山形大学農学部の田邊舞さんと教授の貫名 学(ぬきな まなぶ)先生(生物機能有機化学)の「自生キノコ中のエルゴチオネインの分析」(P86)と題する発表であった。
 エルゴチオネインは最初、バッカク(エルゴット)から発見され、その名前から名づけられた化学物質で、その後、動物の血液中から、さらに肝臓など重要臓器中にも多く含まれていることが分かった。水溶性で抗酸化機能があるが、その本質的な役割は現在研究されているところだという。現在は抗酸化機能をうたい文句に化粧品などに使用されている。
 動物にはエルゴチオネインを取り込むトランスポーターがあることや、各種臓器中に多く含まれていることから、生命維持に重要な役割を果たしているのではないかと考えられている。化学合成されている製品の市販価格は1mg約千円(1g約百万円)と非常に高価である。
 このエルゴチオネインはシイタケやヒラタケなどの栽培キノコや各種野生キノコに含まれている。なかでもタモギタケには多く含まれているそうだ。先生たちの研究はエルゴチオネインを多く含むキノコの探索とキノコから天然エルゴチオネインを安価に製造することで、今回の発表は野生キノコ39種のエルゴチオネインの分析結果である。
 今後、エルゴチオネインが動物にとり重要な役割を果たしていることが解明されれば、機能性食品としてのキノコの価値や、天然エルゴチオネイン生産原材料としてのキノコの有用性が飛躍的に高くなることは確実だ。ひいてはキノコ栽培が中山間地農業の活性化にもつながるのではと期待できる。
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