The Genus Cymbidium (シンビジウム属)

ランの仲間は、担子菌とラン型菌根を形成することで苛酷な環境でも生育できる能力を獲得した。その結果、高温多湿の熱帯から寒冷な高山帯や寒帯まで広く分布することが可能になった。被子植物の中では最後に出現した植物と考えられ、短期間に急速に適応放散したので種間の遺伝的差異が小さく、種間雑種はもちろんのこと属間雑種も可能だ。また昆虫と共進化したことでも知られ、花の形態は受粉を担う昆虫の形態や生態に合わせ豊富な変異に富み、現在でも急速な進化の途上にあると考えられている。美しい花をつけるものが多く、古くから観賞用として栽培されてきた。このため自然の野生ランは乱獲され、絶滅の危機にある種も多く、野生種の取引はワシントン条約によってきびしく規制されている。
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Du Puy , David & Phillip Cribb (2007) 
「The Genus Cymbidium」 (シンビジウム属)

Kew Publishing (キュー植物園出版部)
参考価格 9,950円(税込み)、送料別350円(レターパック350)在庫切れ、お取り寄せ
英語。25.4x18.5cm。369ページ。原色図38、原色写真・線画、分布図多数。ハードカバー。
 ラン科のシンビジウム属は、豪華な花に品種改良された園芸種がシンビデュームと呼ばれわれわれにもなじみが深い。また日本や中国で古くから栽培されてきた東洋らんと呼ばれるランもシンビジウム属が中心である。
 野生種はアジアの熱帯・亜熱帯・温帯に広く分布する。日本ではシュンランC. goeringii*が野山で普通に見られ、カンランC. kanran、ヘッカランC. dayanum、ナギランC. lancifoliumなどが四国・九州・沖縄諸島など暖かい地方に分布する。またマヤラン C. nipponicumが腐生ランとして知られる。
        *学名は北村・村田・小山(1965)原色日本植物図鑑(下)保育社による。
 本書は、そのシンビジウム属を解説するモノグラフで、属に含まれる全種、52種を、手書き原色図、原色写真、線画、分布図を付し、最新の知見に基づき、詳細に解説する。属の定義を再検討し、さらに遺伝子分析に裏付けられたデータにもとづき属内の種すべてを明らかにし、それら種間の関係を明確にする。また栽培については、栽培に適した環境条件と培養土を解説し、さらに栽培の秘訣を詳述する。
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佐野書店 佐野悦三

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