科学への過信と傲慢

この記事は今から4年前、2007年(平成19年)7月20日の佐野書店ブログに載せたものです。今回の福島原発の事故にも通じるものがあると佐野は考え、再掲します。

以下原文ー
 平成19年7月16日に発生した新潟県中越沖地震では震源近くの東京電力柏崎刈羽原子力発電所で50ヶ所以上の被害があり、そのなかには放射性物質の漏れや変圧器の火災、施設の停電など重大なものが含まれていた。
 
 地震の原因は、同原発のごく近くの海底にある断層が動いたもので、さらに「防災科研などが、断層が動いた範囲を示す「断層面」を調べたところ、中越沖地震を起こした断層が柏崎刈羽原子力発電所真下の方向まで延びていた」(平成19年7月18日読売新聞インターネット版)という。

 この地震のわずか2年前、平成17年11月22日、同原発「原子炉設置許可処分取消請求控訴事件」で東京高裁は、敷地周辺の断層の評価について以下の理由を上げ、安全が確保できているとし、差止めを求める原告の控訴を棄却する判決を下している。

 高裁判決の断層評価: 
 『原子炉敷地周辺の活断層は、それ自体断層ですらないもの、又は、断層であってももはや地震の原因にならない地すべり性の断層にすぎないもの、あるいは、構造運動に起因した断層であってももはや活動するおそれのないものであって、・・・安全審査の判断には合理性がある。』
 
 上記高裁判決があげたもっともらしい理由は、まったく根拠がないとんでもない大嘘であったことが、今回の地震ではからずも証明されてしまった。

 わたしたち生物学をすこしでもかじった者にとっては、「今の科学の現状は、分かっていることよりも、分かっていないことのほうがはるかに多い」ことは常識である。

 この判決を下した裁判官、安全性を強弁した被告の政府(経済産業大臣)ならびに原子力安全委員会、さらに実質当事者の東京電力や地質調査を行った科学者など関係者は、科学の現状を正しく認識するとともに、科学を過信し誤った判断にいたった自らの傲慢さを猛省すべきである。 (店主 佐野悦三 記)
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