考えるキノコ -摩訶不思議ワールド

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考えるキノコ
LIXIL BOOKLET 「考えるキノコ -摩訶不思議ワールド-」 2008、LIXIL出版
価格1,575円(5%税込み)、在庫切れ中
 日本語。21.1x20.6cm。72ページ。ほとんどが原色図版ページ。ペーパーバック。
 本書は2008年12月11日からLIXIL(当時INAX)のギャラリー大阪を皮切りに始まった巡回展「考えるキノコ -摩訶不思議ワールド-」に合わせて出版されたビジュアルな小冊子だ。
小冊子ながら見応え・読み応えがある。記事の著者は、大舘一夫(「都会のキノコ」著者)、佐久間大輔(大阪市立博物館)、吹春俊光(千葉県立中央博物館)、飯沢耕太郎(「世界のキノコ切手」著者)などだ。 
 4-16ページの記事「世界のビジュアルキノコ狩り」(佐久間大輔氏解説)の写真はカラフルでしかもすばらしく美しい。
 25-48ページは吹春俊光氏の「近・現代博物誌に描かれたキノコ」と題する18・9世紀のキノコ図譜の解説だ。菌類学の創始者といわれるイタリア、フィレンツェの植物学者ピエール・アントニオ・ミケリの「Nova Plantarum Genera」(植物の新しい属)に始まる7点の貴重な外国の図譜と坂本浩然「菌譜」など4点の日本の図譜をたくさんの原色写真を添え解説する。
 さらに同氏は続く49-51ページで「キノコ研究の古今東西」と題し、ギリシャ時代から今日にいたる世界のキノコ研究史を概観し、日本の在野の研究者の貢献に触れる。

 52-56ページは菌類に憑かれた二人、科学映画監督、樋口源一郎(1906-2006)と青木図版の製作者、青木実(1924-)の話だ。
 樋口氏に佐野が初めてお会いしたのははるか十幾年以上前になるだろうか、日本変形菌研究会の庚申山(栃木県)合宿の時だ。そのときすでに80歳を過ぎておられた樋口氏は若きキャメラマン(といっても私より年上だが)、石井薫久(いしいしげひさ)氏(1945-2008)と二人で参加された。真正粘菌や細胞性粘菌に対する思いを青年のごとく熱く語られ、撮影時にはカメラを構える石井氏を厳しく指図されていた。80歳を越えるお年寄りには到底見えなかった。
 このとき撮影された映像を含む科学映画「真正粘菌の世界」は、1997年第38回科学技術映像祭で科学技術庁長官賞を受賞した。これに先立つ科学映画「細胞性粘菌の行動と分化」では、1992年第33回科学技術映像祭で内閣総理大臣賞を受賞している。
 この2作以降、樋口氏は菌類に憑りつかれたごとくキャメラマン石井氏とコンビで1999年「菌と植物の共生」、2001年「きのこの世界」と菌類をテーマとする科学映画を作り続けられた。樋口氏は2006年99歳で亡くなられ、その2年後の今年8月、キャメラマン石井氏も亡くなられた。

 記事はさらに佐久間大輔氏「キノコに向き合う」、飯沢耕太郎氏「この奇なきのこ」と続く。
 最後のページはマツタケ山でマツタケのすき焼きを楽しむ家族の写真だ。服装や髪型から大正か昭和の初めだろうか。そのころマツタケは珍しくなかった。佐野書店の事務所がある兵庫県相生市の隣、赤穂市の山、私がキノコ観察によく出かけるこの山もかつてはマツタケ山であったと、地元の方から聞いた。私の亡き父のアルバムにも、マツタケ狩りのあと大勢ですき焼き鍋を囲む父の若き日の写真がある。
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